「大地」を巡るロシアの苦悩と日本

久々に時事所感を書く。

7月に録画して放っておいたNHKのドキュメンタリーWAVE 「大地は誰のものか ロシアを耕す中国人」。
悲しいかな、そこには”人口”大国中国に浸食されつつあるロシアの悲哀が映されていた。
それは正に、このままいけば10年後に味わうであろう日本の悲劇と重なっている。

※参考ページは以下
http://adc-g.co.jp/archives/346

「母なる大地」の価値を理解し守ろうとする気概あるロシア人元ソフホーズ責任者。
国家間の交流進展を機にビジネスを目論見次々乗り込んでくる中国農民労働者。
その裏でマージンを稼ぐロシアの役人たち。
どこかの国の現状とダブらないだろうか。
違うのは、中国と国境を接するロシアの国民はその実感度が遥かに切実だということ。

少々視点を変えると、食べるための農業 vs 稼ぐための農業 という構図も見えてくる。
日本は、少なくとも国民の意識では、既に前者への転換をが進行しつつある。
対照的に中国は今正に環境問題という形で後者のツケを払わされている。
どちらに将来性があるのかは一目瞭然だが、民間ビジネスの裏側で暴利を貪る輩は未だに後者への崇拝を続けている。
その錬金術が自分たちの愛する国土を放棄することになる毒薬であることも知らず。

20世紀、ロシアは共産主義教育の下で男たちがウォッカで潰され、日本は戦後教育の下で若者たちが自殺に追い込まれるようになってしまった。
21世紀の初頭、似た者同士が協力し合い、新しい国際協調の道を模索していくときを迎えていると思うのだが。

 

旧友の作品

プーチン 最後の聖戦  ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?

プーチン 最後の聖戦  ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?

  • 作者: 北野 幸伯
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2012/04/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
いかめついロシア大統領の表紙はあまり好感をもたれないかもしれないが、書いてあることは至って深刻な内容だ。
もちろん全ての人が国際政治に興味を持っているわけでもないだろうが、激動の国際社会で日本人としていかに行動するのか、その行動理念が問われている時代に生きている我々に、一つの示唆を与えてくれる。
北野氏はメルマガで著名なロシア国際政治アナリストだが、その作品は常に祖国への愛国心に満ち溢れている。
彼のテーマは「日本人の自立」。
はっきり言って今の日本人には「自立心」が見られない。
それをプーチンの行動によってはっきりと示している内容が書かれている。
プーチンがしてきたこと、それは
1)財政の黒字化
2)借金の返済
3)外貨準備高の備蓄
であり、これはどの日本の政治家もできないことだろう。
世界危機が発生しても、借金がなく蓄えのある人間にとってはそれほど危機は怖いものではない。
日本の立場を考えるとあまりにも心持たないのは事実だ。
北野氏はかの有名なロシア情報分析官である佐藤優氏の著書を引用し、「新聞情報」の重要性を訴えている。
常に時事情報の中から世の中の隠された意味を見出す努力が不可欠だと説いている。
日本人としてこれから行くべき道の理解は、日々の情報収集に基礎とした明確な世界観の確立が必要だと確信させられる。