ルーツを知ることが我々の存在意義を明確にする

失われたアイデンティティ (ペーパーバックス)

失われたアイデンティティ (ペーパーバックス)

  • 作者: ケン・ジョセフ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/06/24
  • メディア: 文庫
 
同書ほど我々日本人の価値を知らしめてくれた作品を自分は知らない。

ケン・ジョセフ氏の書物では最も整理された内容だと思う。
「あなたは、なんのためにがんばっているのか?」と問うジョセフ氏の言葉には、日本人に対する深い愛情と信念が溢れている。
日本人の「原点に立ち返る」という「正しい歴史認識」は近代史の問題ではなく、それをはるかに超える「古代史」という次元で我々に真の力を与えてくれる内容だ。
そしてその「古代史」はキリスト教徒との邂逅という非常に新鮮かつ深遠な事実を基に綴られていく。

本書には「アッシリア」「景教」「秦氏」といったキーワードが頻出するが、自分は直感的にこれらの内容が事実だと理解した。
それは自分がロシア留学時代にこれらのキーワードを満たす人々を目にしてきたからだ。
同書に記された歴史の変遷上にある民族は、確かに日本人そっくりなのだ。
ウズベクの知り合いなどは大阪芸人としても十分通じる顔立ち、愛嬌、そして感性を持っている。
シベリア地方の民族も日本人に瓜二つで、最近見たロシア語講座の学生やその奥さんも日本人の目からはかなり美形の部類に入るような人たちだった。
さらに重要なのは、日本人が「仏教」として信仰している宗派も、その背後にはキリスト教の影が濃厚だという事実だ。
我々は知らないうちに「キリスト教」を信仰していた事実を全く理解していない「類い稀な」民族なのである。
「古代史」といえば雑誌ムーでおなじみの飛鳥昭雄氏が有名だが、このジョセフ氏の解説は飛鳥氏よりも具体的かつ明快で、いわゆる「オカルト」的な要素がないのもいい。
それはやはり我々日本人と共通の先祖を持つとする「アッシリア人」としての心眼ではないかと理解できる。

ジョセフ氏はボランティア・NGO活動の旗手としても活動しており、その内容が本書を通じて把握できるところも興味深い。
そこには現代日本における若者の問題と解決への提案までが実体験に基づく形で記されている。
我々が将来の国家像を形成するのに非常に大きな示唆を与えてくれる実績を残しているのである。

日本人が自らの真の価値を見出すための必須図書と言えるだろう。