台湾人から学ぶヒトの心(2011年6月2日付世界日報ビューポイントより引用)

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台湾人から学ぶヒトの心 – NPO法人修学院院長・アジア太平洋交流学会代表理事 久保田 信之(世界日報ビューポイント)

よく台湾に旅行に行く元同僚から話を聞くに、日台交流の深さを感じてきた。

改めてここに指摘するまでもなく、今回のいわゆる東日本大震災に対して、各国からさまざまな暖かい援助が寄せられてきたが、中でも、人口わずかに2300万人に過ぎない台湾の国民・老若男女が示してくれた日本を思う誠実な心ほど、素直に日本人の心を癒してくれたものはない。

感動的な事例は、大災害が起きた1週間後の3月18日夜に、純然たる市民の手による「相信希望 Fight&Smile」と名乗る、日本を援助しようと呼びかけたチャリティー・イヴェントが台北市内で開催されたことだ。参加者の大半が20歳前後の若者たちだったが、何と、開始から1時間も経たないうちに日本円で21億円もの多額な義捐金を差し出してくれたのだ。

このイヴェントは19日午前0時に終了したが、総計21億円以上(7億8854万元)もの浄財が集まったのだ。このイヴェントだけではない。台湾全土で募金の受付場所を設けてくれたために、中には握り締めてきたお小遣いを「大好きな日本人のために!」と差し出してくれた幼い子供もいたと聞く。到底「愛日家」とは言えない馬英九・現総統も、こうした一般国民の「日本を愛する心」を見せ付けられたためか、急遽、政府系14団体に呼び掛けて約5億400万円の義捐金を拠出する決定をした一方、民間8団体からは約52億4900万円が集まったという。かくして、現在のところ、民間個人・台湾政府分を合わせると170億円にも達する大きな金額が、「日本を愛し、日本を思う心の証」として、台湾から送られることになったのだ。

中韓を遥かに上回る義捐金を提供してくれる台湾人の心中を思うと感謝の念に堪えない。
これほどの交流があるにもかかわらず、日本のマスコミ文化により友情観念が曲げられてきた事例も少ないだろう。

日本でもインターネットやツイッターに、おそらく若者であろうが「メディアはもっと台湾のこと報道しろよ!」「これだけ援助してもらっているのに、ろくに報道しないマスコミと政府、こういうところでグズっぷりを露呈するな!」など、率直な感想なり意見を書いている。「意図的に台湾を無視し続けている」としか言いようがない日本の政府およびマスコミの影響下にありながらも、こういった真っ当な、素朴な感想が述べられている現状を頼もしく思うのは決して私だけではあるまい。

ところで我が国で「市民の意見に率直に耳を傾け、市民目線で政権を担う」といって政権交代を実現した現在の菅政権は、日台両国の「一般市民の声」をまったく聞こうとはせずに、台湾からの緊急援助隊派遣の申し出を拒否してみたり、170億円以上にもなる「暖かい義捐金」の存在を日本国民に知らせず、「台湾の一般市民」にも感謝の気持ちを表明していないのだ。こうした「冷たい態度」を現在も平然と続けていられる神経ほど「一般市民」の心情から遠く離れたものはないのではないか。

日本の経済が、中華人民共和国にどれほど大きく依存していようとも、それに媚びたような態度をとり、刺激しないよう巧みな言い訳をしている菅政権を、多くの日本人は情けなく思っている。素朴な心情を持った日本の一般市民は、中国(中共)を、心底、信用はしていないのだ。一般の台湾人は、長年、「生存を確立するために不可欠な、大陸の人たちとの共存の仕方」に苦労してきた。平和ボケした我々日本人は、台湾人の、こういった切実な、基本的な苦労を、もっと深く知るべきだ。

人間の本質である「心の通い」を忘れたかのような「台湾無視」の菅政権を、われわれは許さない。否、菅政権が、任期いっぱい、すなわちあと2年も続くことを許していては、世界中の人々から、日本が軽蔑され見放され嫌われること必定なのだ。

一日も早く、台湾の人々に対して、日本国を代表して正式な謝意を表明することこそ、細やかな心配りをするアジア太平洋地域の人々から日本が信頼される正道なのだ。台湾人の心をわが心にする努力を通して「ヒトの心」を取り戻したいものだ。台湾の独立を支援するといった傲慢で、不遜な言動に走る前に、歴史と現実を冷静に幅広く知る努力を通してのみ、台湾人からヒトの心を学び取ることができるのだ。

日本に真の環太平洋文明が開化することを記念して止まない。

 

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