「奉仕は当然無償」とみなされる日本社会の矛盾

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月収15万円「体も心もぼろぼろ」 手話通訳者、過酷な勤務 – MSN産経ニュース

月収15万円「体も心もぼろぼろ」 手話通訳者、過酷な勤務
2011.6.4 21:36

「肩や首の痛みを放っておいたら鬱状態になった。体も心もぼろぼろだった」。長崎県障害福祉課の元嘱託職員の女性(61)は頸肩腕障害になった苦しみを明かす。

1、2時間連続も…頭痛、不眠に苦しむ

発症したのは、手話通訳者として長崎県に採用され3、4年がたったころ。通訳を終えるたびに頭痛がし、夜は眠れなかった。目を閉じてもまぶたの裏に手話をする手がひらひらと映ったのが辛かったという。

夜間や休日も講習会やサークルに参加するなど「手話にどっぷりつかる生活を続けていた」。人の話を無意識のうちに頭の中で手話に変換するほどのめりこんだが、頸肩腕障害と診断された後、仕事以外の活動をやめて、ようやく楽になったという。

手話通訳者は、耳の聞こえない人に手話が見えやすいよう、基本の姿勢は中腰だ。手話の文法は日本語と異なり、外国語の通訳と同じほど神経も使うという。このため、続けられるのは通常、15~20分が限界だが、現状では、講演や会議で休憩なしに1、2時間通して通訳することもある。

「好きでないと続けられない」

ただでさえ重労働なうえに、人手も不足している。全国手話通訳問題研究会によると、平成18年10月に完全施行された障害者自立支援法は市町村に手話通訳者の設置を義務づけたが、22年度末で設置できた市町村は29%にとどまるという。

人手不足の背景には待遇の悪さがあるという。兵庫県内の団体職員の男性(31)は手話通訳者を養成する学校で手話を学び職についたが、月収は15万円。結婚して家族を養うという将来も描けない。「正職員でまだ恵まれている方だが、好きでないと続けられない仕事」という。

頸肩腕障害に詳しい垰田(たおだ)和史(かずし)・滋賀医科大准教授(労働衛生学)は「手話通訳者は聴覚障害者の役に立ちたいという一心で際限なく働き続けようとする上に、簡単に休める環境になく、我慢を重ねて症状を悪化させることが多い。高度な専門技術が要請されることから、人手不足を解消するには計画的な養成と一定の処遇が必要になる」としている。


最近ソーシャルビジネスの本を読みながら、日本社会の包容力の弱さが見えてきた。
これは学術研究や技術開発に対する社会的評価の低さにも通じる問題と思う。
創造性、クリエイティブという概念に対する社会的認識の低さが根底にはあるのではないか。
結局この点が近代史を先導してきた欧米とアジア諸国との本質的相違点だったし、未だにその違いは解消されていないように感じる。