「大切なのは、自己実現でなく共感だ」

やりたいことがないヤツは社会起業家になれ やりたいことがないヤツは社会起業家になれ
(2009/04/22)
山本繁

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先回の書評である『「社会を変える」を仕事にする』を読む前に読んでいた山本繁氏の意欲作。
これも残りを一気に読んでしまった。
(いつまでも未読状態にしておくのは心身ともに悪い)

何といっても、以下の一言が彼のビジョンを明確に表している。

『大切なのは、自己実現でなく共感だ―』

学生起業家だった同氏がある事件をきっかけに自分の人生の目的を見失い、自殺まで考えてたどり着いた常夏の島。
そこで得た答えが「自分の中にニーズはない。だったら他人のニーズのために生きればいいんじゃないか」というインスピレーションだった。
その動機が彼をして「社会起業家」の道を切り開かせる原動力となっていく、正に新しい人生のストーリーだ。

以下に自分自身が共感した内容を連ねる。

『社会企業家に興味をもったものの、何をすればいいのかわからない人も多いかもしれない。誰だって最初はそうだ。まだテーマに、つまりニーズに出会っていないからだ。しかし、僕もそうだったように、追い求めるべき“北極星”は、きっとあなたの内面にある。…何でもいいから連想して、自分をふり返ってみてほしい。自分の中のキーワードがいくつか浮かび上がってくるはずだ。今は過去と繋がっている。未来へのヒントは過去にあると思う。』

『自分史をふり返って自分の個性や強みが見えてきたら、今度は友人でも親でもだれでもいいから、空っぽの心で他人のニーズに耳を傾けてみてほしい。身近な人の声が社会のニーズを知るヒントになる。』

『社会起業に興味はあるけれど何をしたらいいかわからないという人がいたら、フットワークを軽くして何かに参加してみてほしい。現場に行けば、新しい刺激が待っているはずだ。』

『一般的には、やりたいことを仕事にするものだと考えられているようだ。しかし、仕事は手段である。そして、すべての仕事は、「誰か」を「何か」で「笑顔」にすることだと僕は思う。…彼らの声に共感が深まるほど、何とかならないものかと一緒に頭を抱えるようになる。そして、まわりを見渡してリソースを探し始める。』

『やがて、あるラッキーが起きる。ニートの若者が社会に復帰したり、漫画家の卵に家を安く貸してくれる大家さんが見つかったり、中退しようとしていた学生が何か新しいきっかけを掴んだりする。僕らは思う。こんなラッキーがもっとたくさん起きればいいのに、と。そして、ラッキーを細かく分析し始める。なぜそのラッキーは起こったのか。ラッキーが起こる確率を上げるには、どんな仕組みが必要なのか。多くの人に奇跡が起こるように、仕組みづくりをする。これこそが社会企業であり、新たな社会問題解決の手法である。』

無縁社会を彷徨している若者たちにとって、彼の言葉は眩い光で溢れている。